僕とタツヒコ
気付けば季節の移ろいは春から夏へと向け
春風から初夏の風へと衣替えしていた頃
僕はと言えば相変わらず中小企業で換気扇を製造していたんだ
貧乏な会社では夏到来まで冷房など入れられるはずもなく、とにかく汗ばむ毎日が続いていた
そんなある日の事
僕は仕事中に自分の体に違和感を覚えた
…お尻が何かおかしい
お尻が、正確に言えばアナ…肛門周辺が痛痒いのだ
反乱した河川の様に容赦なく流れ乱れるライン作業に身を置いていた僕だが、思い当たる節を冷静に考えてみた
そう言えば、今朝急いでウ○コしてケツ拭いた時に勢い余りすぎて肛門に激痛が走ったっけ
何だぁ!この痛痒さの正体はケツの拭きすぎだったんだぁ!
きっと明日には元気もりもりウ○コもりもりの肛門ちゃんに元通りさ
無事に問題も解決して安心した僕だったが、何日経っても謎の痛痒さは一向に収まらない
流石に不安になった僕はふと肛門付近に手をやってみた
うわぁ~何か居るぅぅ…
ショックを隠しきれなかった
へっバーカと僕をあざ笑うかの様にそこには確かに何かが潜んでいた
まぁ色々と考える事はあったが、悩んでいても仕方がないので僕はこの物体に「タツヒコ」と名前を付けて飼う事にした
二人が打ち解けるのに時間はかからなかった
翌日僕はタツヒコの餌を買いに薬局へと向かった
余程好きなのかお腹が空くと、仕事中だろうが何だろうが関係なく僕の肛門を攻撃してくる
少々やんちゃなタツヒコだったが、そんな所も愛らしく思えた
僕は暇さえあれば彼にボラギノールを与えた
そんな毎日がいつまでも続いて行くものだと思っていた
でもそれは違っていた
何だか最近タツヒコに元気が無い
不安になって肛門付近に手をやってみる
嘘だろ…タツヒコが小さくなっている…
何でだよ
毎日大好物のボラギノールも与えてるし毎日お風呂だって一緒に入ってるのに
今までのタツヒコとの思い出が走馬灯のように僕の頭の中を巡った
嫌だ、そんなの嫌だよ!元気を出しておくれよタツヒコ!
僕はしこたまボラギノールを与えた
でも数日後タツヒコは僕の肛門から姿を消してしまった
しかし僕の肛門は何故かとても清々しかった
これが僕とタツヒコの出会いと別れだ
もし皆さんがケツに違和感を感じたらそれはタツヒコでは無くただの痔です
間違っても飼おうとか名前を付けようとか思わずに
迷わず薬局か肛門科へ行きましょう